Everything's beautiful

辺境の地で愛を叫ぶ

クローバーとU R not aloneとその不在について

ジャニーズ事務所が行っているSmile Up!Projectの一環として行なわれた無観客配信ライブJohnny's World Happy LIVE with YOU。日替わりで登場するジャニーズアーティストの中でNEWSは3日目に登場しました。

このライブへのNEWSの参加が決まった時は素直にうれしいと思いました。

事務所をあげてのチャリティーにもし出演できないとしたら、その方が問題だと思ったからです。

でもそのあと更新されたジャニーズWebのNEWSRINGで増田さんが「今、3人で出ることを不安だったり嫌だと思う方もいらっしゃると思いますが」と書いていたように、この場所に手越くんがいないことと、3人で行われるパフォーマンスに対しては、ファンの中でもそれは様々な感情も葛藤もあったことと思います。

わたし自身は嫌だと思う気持ちはなかったけど、不安という部分で言えば、3人のパフォーマンスが不安というよりは、それを見た感情の行く末がどうなるのかが自分でも掴めず、そのことへの不安、というよりは怖さがありました。

 

そもそも手越くんの一連が起こってから、わたしは自分自身でも揺れ動く感情に翻弄され続け、このことに対してほとんど語ることができませんでした。

真偽のわからないネットニュースはすべて読まず、タイトルだけ一応チェックする、というスタンスでやってきて、今どういう風に騒がれているのかはなんとなくは把握しているけれど、かと言ってそんな報道を前提として話をしたくないという気持ちも強くありました。

はっきりしているのは「感染拡大防止のために外出自粛が要請され、事務所をあげてSTAY HOMEを呼びかけている最中に、手越くんが酒席を伴う外出をした」こと。

そして「チャリティーソングの活動から外されたあとも再びの外出により、事務所から無期限の芸能活動停止を言い渡された」こと。

これだけでもグループにとってじゅうぶんダメージの大きい出来事にも関わらず、それに対して週刊誌やスポーツ紙には、好き勝手に書かれた見たくもないタイトルがずらりと並ぶ状況に、憤りも悲しみも心配もそれは様々な感情はあったけれど、はたしてそれを表に出していいものか、ちっぽけなわたしがいくら叫んだところでどうにもならないという気持ちと、自分の想いを伝えることは傲慢なのではないかという葛藤と、それでもファンのいろんな想いが集まってNEWSにも届いたことが、もしかしたら未来の希望になり得るかもしれない可能性と、そんな揺れ動く日々を過ごす中で、ようやく見つけた自分の揺るぎない気持ちは「わたしはNEWSの歌が好きだし、そしてそこには絶対に手越くんの声がなくてはならない」ということでした。

 

かと言って、「また4人のNEWSの歌が聴きたい!手越くん早く戻ってきて!4人じゃなきゃ絶対に嫌だ!」と死に物狂いで叫び、しがみつけばいいのか、それとも、すべてなるようにしかならないと達観し、成り行きを静かに見守るのが大人としての態度なのか、どちらが正解なのか、どちらがより未来に繋がるのかはわからないままで、だから何も言えない状況は変わらないまま、この配信の日を迎えることになりました。

 

ライブ配信に先立ってFC会員ページで今日のパフォーマンスについての動画が公開されました。

そこで3人は「初披露する楽曲とかまだ映像化になっていない楽曲とか」をやると語っていました。

初披露、ということはまだライブで披露できていないアルバムSTORYの中の楽曲なのかな、と思ったときに、真っ先に思い浮かんだのはクローバーでした。

クローバーについては、初めて聴いた時からあまりにも思い入れてしまったために、この曲を語るブログを書きたいとずっと思いつつ、でも自分の中の感情をとうてい表現できる気がしなくて、結局語らないままここまで来てしまいました。

 

NEWSが辿ってきた紆余曲折を思うときに浮かぶイメージは「ファンが支えていないとなくなってしまったかもしれないグループ」であり、それはわたしがファンになってからのこの5年間でも、その不安定なイメージはずっとついてまわっていたように思います。

シングルやアルバムが発売できたり、毎年ツアーを回れるのが当たり前と思えるようになったのは、本当にここ数年のことで、ファンの存在に支えられてなんとか続いてきたようなそんなNEWSが、最近はソロの仕事も次々と決まり、すっかり活動が安定したように思っていたこのタイミングでのこのクローバーは、悩みや悲しみの中にいる人を支えたり包み込んだりエールを送る言葉が並び、いつの間にかファンが支えていたNEWSから、聴く人を支えるために曲を作り、歌えるまでになったんだな、という感慨がこみ上げる楽曲でもありました。

そして、応援歌というものがそんなに好きなわけではないはずのわたしにここまで刺さったのは、それがNEWSくんたち自身から出た等身大の言葉であり、そしてそれが誰よりもファンを思って書かれていることが、強く伝わってきたからだと思います。

 

 

逃げる場所にしたっていい

辛くなるなら、聞かなくていい

 

 

 

 

特に増田さんのこのパートは、少し頼りなかったNEWSのイメージを吹き飛ばすくらいの力強さに満ちていて、初めて聴いたときから心の奥深くに突き刺さりました。

たくさんの人に聞いてもらえなくては成り立たないアイドルという立場から、それでも「辛くなるなら、聞かなくていい」という選択肢を与えられるその大きさに、NEWSに心を寄せてくれたすべての人の支えになりたい、いろいろな人のいろいろな想いを全部受け止めたうえでその希望になりたい、という強い思いがあふれ出ているようで、こんな言葉を紡げる増田さんが本当に強くて優しくて人間としてどこまでも大きくて、だからこれまでもこんなにも大好きなのに、どんどん好きという気持ちが天元突破し続けていくんだと思うんです。

 

 

そんなNEWSが、このライブ配信で一曲目に選んだのがクローバーでした。

もしそうだとしたらどうしよう、というわたしの予感は的中し、とても冷静でいられるわけがなく、3人で歌うこの曲に感情が揺さぶられすぎて、曲の始まりから終わりまで、そして終わったあともずっとずっと泣いていました。

 

もしクローバーだとしたら。

あのとき自分がどう思ったのか思い出そうとすると、もしクローバーならそれは、ファンに対してではなく、そこにいない手越くんへのなんらかの意味が込められているとしか思えないだろうな、と考えたような気がします。

ほかのグループのファンも見るライブ、事務所をあげてのチャリティーの場ということをふまえて、よく知られている6人時代以前の楽曲を中心にして、手越くんの不在を目立たせない構成にすることもできたはず。

でもNEWSはそうはしなかった。

 

この日のセットリストは

 

  • クローバー(STORYより)
  • weeeek
  • エンドレス・サマー
  • Going that way(小山くんソロ)
  • 世界(シゲアキくんソロ)
  • 戀(増田さんソロ)
  • U R not alone

 

 

どんな曲を歌うのか、事前になんとなく予想していたものとはまったく違っていて、(weeeekはやると思っていたけど)ああ、そうだ、こういうときにこういう曲を持ってくるNEWSだった、だからここまで好きになったんだよなと、改めて感じたセットリストでした。

不安や葛藤を抱いているファンも、手越くんがいないNEWSへの好奇心から見る人も、事務所や仕事の関係者やスタッフさんたちも、そういったいろんな人たちが、いろんな想いで見るライブで、自分たちのパフォーマンスを通して何が伝えられるのか、どうすれば想いを感じてもらえるのかを、考えに考え尽くしてできたセットリストと演出だったと思います。

そしてそこにはもしかしたら、手越くん本人への、3人からの想いも込められていたのかもしれません。

いろんなことがまだ不確実な今は、このパフォーマンスを通してNEWSが本当に伝えたいメッセージがなんなのかはわからないし、勝手な憶測にしかならないのをわかったうえで、でもやっぱり4人で作ったクローバーと、U R not aloneを歌うことを選んだ意味を考えてしまいます。

 

4人で作り4人がひとりずつ歌い継いでいくクローバー、そしてAメロBメロの2人ずつの掛け合いとやはりひとりずつパートを繋ぐ大サビが印象的なU R not alone。

絶対に4人でしか歌えないと思っていた楽曲を歌うことを選んだ3人。

クローバーでは、増田さん、シゲ、慶ちゃんと歌い継いだあとの手越くんパートは、前半はトラックだけが流れて誰も歌わず、そこでわたしは思わず「手越くんの戻る場所を3人が守っている」と感じてしまいました。もしクローバーを3人で歌うなら、手越くんパートを全員で歌うしか選択肢はないと思っていたからです。

別々の場所でそれぞれソロパートを歌った3人が、手越くんのパートのトラックが流れるなか中央に集まってきて、そして3人が出会ったところから手越くんパートの後半部分を、声を合わせて歌う。ペンライトの波のように、会場を光が埋め尽くしていく。

6人時代にメンバー6人で作ったShareは、今はいないメンバーの作ったパートも、現メンバーに割り振られています。

でもクローバーの手越くんのパートを、前半は歌わず後半は3人で歌うという構成にした意味を、そもそもクローバーをこの場で歌うことを選んだ意味を、どうしても考えてしまいました。

 

そのあとはいつものライブのようにステージが進んでいくなかで、ことさら手越くんの不在を意識することはありませんでした。そこに姿がない違和感も声が聞こえない寂しさももちろん感じながら、どうすれば自分たちを最大限に魅せることができるかを知り尽くした、巧みな構成と演出がされたそのステージに、ずっと魅了されていました。

 

そしてラストは、ファンの合唱パートがあるU R not alone。

手越くん、そしてファンという2つの不在ができてしまうこの楽曲を、それでもこのライブでのラストに選んだNEWS。

ライブではいつも、ファンの合唱パートで両手を広げ、その歌声を全身で感じようとする姿に胸打たれてきたけれど、今回もそうやって、聞こえないはずのファンの歌声を感じようとしているNEWSに、声を合わせて歌いながらも涙がこみ上げて抑えきれなくなりました。

そして大サビ。

手越くんパートを、誰も歌いませんでした。

そこに流れるメロディと表示される歌詞テロップだけが、そこにいるはずの人の不在を示していました。

4人でしか歌えないと思っていた歌を歌った3人。でも3人でその歌を成立させることはしなかった。

これも手越くんが戻る場所をあけて待っているという意志だと、わたしはそう受け止めました。

それはきっと、自分たちの思いを自分の好きなように発信することもままならないであろう彼らが放つ、強烈なメッセージとして、わたしに突き刺さりました。

U R not aloneの選曲と、手越くんのパートを歌わない選択。

 

 

あの日つまづいて

しゃがみ込んでしまうほどの痛みさえ 

 

 

 

シゲと小山さんと違い、増田さんは口ずさむことすらしなかった。

この時どんな想いだったのかは、きっとずっとわからないままだと思うけど、固く結ばれたその唇に宿る強い意志に、どうしようもなく心が震えました。

 

怒っているように見えても実はお腹がすいているだけだったり、増田さんが本当に他人に対して怒ることなんて、ほとんどないんじゃないかと思っています。それくらい優しくて、繊細なのにどこまでも強くあろうとする増田さんは、ただその声を待っていたのかもしれないし、ファンの合唱のように聞こえないその声に耳を傾けていたのかもしれないし、それとも、生まれた日から今日までを見てきたもうひとりの自分と対峙していたのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

確かな答えは 何処にもないから

探すんだ 恐れないでその足で迷っていい

何度も諦めるかって言えばいい

 

 

今までに何度も何度も歌ってきたわたしたちファンのこのパートのように、答えがなくても探し続ける日々がこれからも続くと思います。

この日の3人の魂のこもったパフォーマンスにも、いろいろな人がいろいろなことを思うだろうけれど、それも全部わかったうえで、精一杯を伝えてくれたNEWS。

わたしにはそれだけでじゅうぶんでした。

まだ未来が描けない今だけれど、もしかしてこのオンラインライブで何かが変わったのかもしれないし、何も変わらないかもしれない。

それでも前を向いて荒野を進んでいくNEWSを、これからも見続けていくつもりです。

 

願わくばその背中が、これからもずっと4人でありますように。