20年
サービス業で働いてるので、土日もだいたい仕事に出ている。
勤務を終えて家に帰ると、学校が休みで家にいる娘が、NEWSが出演した歌番組や少プレの録画や、ライブ円盤を再生して見ていることが多い。
わたしも遅い昼ごはんを食べながらなんとなく一緒に見るのだが、そういう映像がわたしのその時の気分とはまったく関係なく再生されているのって、ちょっと面白いなぁと思ったりしている。
曲を聴くときはランダムで再生することが出来るけど、映像は普通それがない。
「これが見たい」というその時の自分の意思で決定し、録画を再生したりブルーレイディスクをデッキに入れたりするものだ。
しかし家に帰ると勝手に映像が再生されていて強制的に目に飛び込んでくるこの状態を、わたしは「NEWSガチャ」と密かに呼んで楽しみにしていた。
途中から見ることになるのでどっぷりとその世界に浸ることはないのだが、なんとなく見ているだけでもきらきらした4人の姿は、仕事帰りの疲れた体と精神を癒し潤してくれる。
ある日の「NEWSガチャ」は WHITEのライブだった。 この円盤に収められているツアーラストの公演は、2015年6月14日に行われたもので、わたしはその3日前に、たまたま見た水曜歌謡祭で増田さんの歌を聴いて、増田さんに転げ落ちたのだった。
だからWHITEのライブをこの目で見ることは叶わなかったけれど、わたしが好きになったきっかけの増田さんの、当時のビジュアルと歌声が入っているこのWHITEに、わたしはとても思い入れがある。
その日、テレビ画面に映し出されたWHITEの増田さんをぼんやりと見ながらふと、あぁ、わたしはついに見つけたんだな、と気づいた。
わたしはきっとずっと探してたんだ。 心奪われ、人生をかけて熱狂できる何かを。
それまでの生活に特に不満があったわけではなく、普通に平凡で幸せだった。
でもだからこそ、心の底では無意識のうちに”何か”を、”誰か”を、探していたのかもしれない。
ある日突然わたしの心に入り込んできた増田さんによって、今までの人生では味わえなかった体験をたくさんさせてもらったし、心震わせるほどの感動も与えてもらった。
歌声に涙し笑顔を見て自分も笑う。愛にあふれた楽しい日々を今でも毎日送らせてもらっている。
自分のいいところなんてこれっぽっちも思いつかないけれど、あの日増田さんを見つけたことだけは、自分をめちゃくちゃに褒めてあげたいな、と思う。
そんな増田さんは先日、ジャニーズ事務所入所20年を迎えた。
20年という長い月日を、ジャニーズとして、アイドルとして、生きてきた人。
自分に置き換えて考えても、20年続いているのは結婚生活くらいで(ちょうど今年20周年) 、わたしが平凡に過ごしてきたその同じ年月を、増田さんは思春期の入り口から厳しい芸能の世界に身を置き、NEWSとしてデビューしてからは常に人前に立ち、注目される立場で過ごしてきたんだなぁと思うと、本当にすごいとしか言えない。
たくさんの人の夢や憧れを背負っているという途方もない重圧や、常に人目に晒されるストレスなど、ちょっと考えただけでも息苦しくなるけれど、きっとそれ以上に歌やダンスや、アイドルとしてのパフォーマンスが大好きで、誰かが喜んでくれる姿が自分の喜びになるからやっていけるんだろうな、と思う。
芸能の世界に生きるってどんな人生なんだろう。
時々考えてみるけれど、どんなに想像してみてもその一端さえきっとわかることはない。わたしみたいな一般人にはとても想像がつかない世界だ。
それなのにその人生の辛さや苦しみや、そして喜びや幸せを、ほんのわずかでも分かち合うことができたら、と願ってしまう。
いくら想像してみても決してわかるわけないのに、それでもつい自分の狭い経験と思考の中に当てはめて、理解しようとしてしまう。
増田さんは決してわたしの理解する枠にとどまらない。
ファンになってからまだたったの3年ちょっとだけど、その間ずっと増田さんを見続けたし言葉も聞き続けてきた。
それなのにいつまでも増田さんのことはわからない。
今現在が、ファンになってからこれまでで一番わからないくらいだ。
不思議なひとだなぁ、といつも思う。
アイドルとして自分をどう見せるかを常に考えている。
頑固で、譲れないこだわりを持っている。
人付き合いがうまくて交友関係が広い。
表面に出ている増田さんを構成する要素をひとつずつ拾っていって、それを全部つなぎ合わせても、どうしても”増田貴久”にならない気がする。
だからと言って表面に出ている姿が、自分を偽って演じている姿というわけでもない。
全部の瞬間、増田貴久はちゃんと増田貴久で、どの増田さんも全部本当の増田さんなのだ。
きっと増田さんのことが完全にわかる日は永遠に来ないと思うけれど、だからこそ増田さんの魅力は計り知れないし、いつもいつまでもその沼の底に突き落とされ続けるのだと思う。
増田さんは自分の芯というものをしっかりと持っていてぶれないし、それはきっと20年間変わっていない。
そしてその芯のひとつが、「ジャニーズに対する愛」だと思う。
増田さんが入所20年を迎える今年、ジャニーズの楽曲を使った舞台「Only You~ぼくらのROMEO&JULIET~」で主演することになったのは、ジャニーズ一筋で生きてきた増田さんへの何よりのプレゼントだったのではないだろうか。
増田さんの得意な歌とダンスを取り入れた音楽劇で、使われる楽曲はジャニーズの歴史を彩ってきた名曲ばかりだ。
2年前から企画され、脚本も増田さんに当て書きされた、増田さんのための舞台。
そこで見せつけた圧倒的な歌唱力とダンスの表現力。
まさにジャニーズとして生きた20年を、全身全霊で演じきっていた。
この舞台をきっかけに、増田さんの歌はさらに深みを帯び、表現力を増したような気がする。
今までもじゅうぶん心に響く歌声だったのに、さらに感情を揺さぶられ、切なくてたまらないのに幸せがあふれる。そんな歌声に進化した。
舞台の後、いくつかの歌番組への出演で聴いたその歌声、特にほかの方とのコラボやカバーの歌は、凄みさえ感じさせるものだった。
その楽曲の世界観を損なわないようにしながら、そこに自分の色を足すことで、さらに彩り豊かで魅力的にものにしていた。
この舞台が増田さんにくれたものはとても大きいと感じることが多い。
ほかのキャストの方は年下が多く、座長としてはもちろん、年齢的にも経験的にもみんなを引っ張っていく立場だったこともあるし、共演者の方が明かしてくれた話から、現場の雰囲気を盛り上げリードし、みんなに慕われる様子が伝わってきてとても嬉しかった。
さらにこの夏は、ドラマ「ゼロ一獲千金ゲーム」への出演、味の素スタジアムでのNEWS15周年記念ライブへの準備、レギュラー出演していたPON!の生放送に毎週出演しながらという、多忙なスケジュールのなかでの主演舞台だったけど、その忙しさを本当に嬉しいと思っているのがすごく伝わってきていた。
増田さんは「タレントとして、そしてひとりの男としても成長していけたら」という言葉をよく言うけれど、この夏を駆け抜けて増田さんはまさに、ひとりの人間としてさらに成長したのではと思う。
増田さんの凄さはその変わらなさ、ブレなさにあると思うけど、それでもさまざまな経験を積みながら、変わらないようでいて変わっていくんだなぁと思う。
最近は雑誌で肌を見せることも多く、決して脱がなかった頃とは変わってきているし、さっき書いたように歌も進化している。
ファンはアイドルという丸ごとの人間を愛してしまうから、良いパフォーマンスはもちろんだけど、そこに人間的な魅力が加わることでアイドルはさらに輝きを増していく。
だからタレントとしての技術の向上とともに、人間としての成長も不可欠なことを増田さんはよく知っているのだと思う。
増田さんがこんなに魅力的なのは、もともと持っている人としての資質に加えて、アイドルとして生きてきたその人生経験が、すべて血肉となって増田さんのなかに生きているからなのかもしれない。
その底知れない魅力にわたしは何度だって恋に落ちる。
増田さんを見ているとアイドルの仕事が本当に好きで楽しくて仕方ないんだなぁというのが伝わってくるし、ファンとしてそれはとても幸せなことだ。
アイドルだからといって自分の人生を仕事のために犠牲にして欲しくはないけど、でも増田さんはちゃんと自分の生活も人生も大切にできる人だと思うから、何も心配していない。
もし増田さんが人並みの幸せを求めるよりも仕事に人生を賭けていたとしても、それはきっと増田さんの覚悟であると思うし、わたしはその人生を肯定したいし尊重したい。
かわいそうだと思うことは増田さんに対して一番失礼なことだし、心配することは相手のためを思っているようで、実は心から信頼していないからだったりする。
わたしに心配する隙を与えてくれないくらい、増田さんはしっかりと自分の人生を生きている。
もちろん20年という月日をジャニーズとして、芸能界で生きるためには努力だけではダメで、環境だったり運も必要な要素になってくるから、今こうやって増田さんが入所20年を迎えられて、そしてわたしが今こうやって応援できていることは、まるで奇跡みたいだとも思う。
いろいろあって去っていった人たちもたくさんいるし、グループ自体にもいろいろあったからなおさらだ。
誰よりもジャニーズを愛し、誰よりもジャニーズとして生きている増田さんは、20年という重みと感謝を誰よりも感じているだろうと思う。
増田さんの根底にあるのはずっと、先にジャニーズとして生きてきた先輩たちの姿で、その憧れを20年追い続けて今があり、これからもきっとその気持ちのままアイドルを続けていくんだろうな。
増田さんジャニーズ入所20年本当におめでとう!
わたしは20年のうちのたった3年しか見ていないけれど、こうして節目の年にその活躍を見ていられてその魅力に振り回されて、今とても幸せです。