Everything's beautiful

辺境の地で愛を叫ぶ

君へのエール

手越くんの本読みました。(手越担の娘が買ったのを貸してもらった。)

帯や内容から、フォトエッセイとして出版されたこの本が、ファンに自分の想いを伝えるためのファンブックにしたかった手越くんと、興味本位の大勢の人にも売りまくりたい出版社の思惑が行き違ってしまったんだろうなと感じた。

スピードを望んだのは手越くんの意思だとは思うけど、それにより"ファンに想いを伝える"という一番大切な部分がないがしろにされてしまった感は否めない。

わたしが読んでめちゃくちゃ腹が立った部分は、きっとまともに校正もされなかっただろうことを考えて(手越くんの真意ではなく)表現の問題として胸におさめたけれど、一番残念だったのは、この本で手越くんが自信満々に語っているたくさんの夢が、とうてい実現不可能に思えてしまったことだ。

わたしは心の底から‪増田担なので、この本に書かれている"手越祐也のフィルターを通した事実"を、"増田貴久を好きな自分"というフィルターを通してしか受け取れないし、そのフィルターは一方から見たらめちゃくちゃ歪んでいることを自覚したうえで、それでも4人のNEWSを見てきた5年間の中で、わたしは手越くんのことだってたくさん愛してきたと思っている。

残念ながらファンになるのが遅くてテゴマスの活動をリアルタイムで見ることはかなわなかったけれど、NEWSの歌でもテゴマスのハモにはいつも心が震えたし、突き抜ける高音に何度も痺れたし、ステージ上でファンに見せるキラッキラの笑顔や、メンバーに囲まれて笑ってる顔や、ファンのサプライズに思わず泣いた顔がまんま5歳児だったこと、負けん気は強いけど素直で、誰よりも努力家でまっすぐな手越くんが大好きだった。

退所のあと、増田担としてあまりにも自然に3人のNEWSへ気持ちがシフトしていくのと同時に、手越くんの記者会見には何も心を動かされなかった自分は、やっぱり増田担としてのフィルターを通してしか手越くんを見れてなかったんだと自覚したし、でも一方で手越くんなら、ここから飛び出して誰もできなかったことをやり遂げたり、いろんな制約や壁を取り払って誰も真似できない活動をしていけるんじゃないかという期待もあった。

それなのに本の中でありのままをさらけ出した手越くんは、あまりにも危うくてあぶなっかしくて、しかもそれをまったく自覚していないことが明らかで、今までどれほど強固な盾に守られてきたのかがわかってしまいなんとも言えない気持ちになった。

‪『僕らなりに彼を守ってきたつもりです』という増田さんの‬言葉の意味が、その時のわたしには本当にわからなくて、それはNEWSが4人になった時に「これからは俺がNEWSのシールドになる」と言ってた彼が、どうしていつの間に守られる側になってしまったんだろうと‬思っていたけれど、本を読んだら痛いほどわかってしまった。

本当にずっと、あらゆるものから守ってきたんだろうな、ということが。

自分をありのままに見せることで、自分の強みや武器だと思っている部分がもっと世間に知ってもらえると思ったのかもしれないけど、それは逆にバランスが崩れれば一気に崩壊する恐れのある危うさも含んでいる部分で、今まで守られてきたからこそ問題にならなかったけど、守ってくれるものがなくなった生身の手越くんはあまりにもあぶなっかしくて、そんな彼がすごい何かを成し遂げられるとはとても思えなかったことがむなしくて、読み終わって無力感でいっぱいになってしまった。

でも空白の数日のあと自身のYouTubeチャンネルにアップされた動画で手越くんは、本に対する批判に真摯に耳を傾けて謝罪した。

自分の意図しなかったところで自分を応援してくれてるファンを傷つけてしまったことに、誰よりも手越くんが傷ついてるように見えた。

自分を応援してくれるファンを悲しませてしまったことが何よりやりきれないと思っていること、今まではたくさん支えられ守られてきたことを認めてくれたこと、そしてそれに対して素直に謝罪の言葉を言えるところ。

あれだけたくさんの言葉を連ねた本の中には感じることができなかった、手越くんのいいところをこの動画では感じることができて、これからも"すべてはファンのため"という一点を貫いていける君ならきっと大丈夫だよ!できるよ!と励ましてあげたくなるほどに、わたしの気持ちもいつの間にか軽くなっていた。

きっと今の手越くんの周りにいる人たちが、ファンの重要性をあまりわかっていないのかもしれなくて、だからここまで話題作りやスピードばかりが注目されがちだったんだろうけど、手越くん本人は心からファンを大切に思ってるんだなというのが伝わってきたのが何より嬉しかった。

NEWS時代からずっと一番つらい思いをしてきたのはきっと手越くんのファンで、そんなファンの人たちが、退所してからどんどん活躍する手越くんをリアルタイムで追えて、SNSで直接自分の声を届けられる現状を「今が一番幸せ」と言っているのを見て、NEWSの手越くん、ステージ上で輝く手越くんからたくさんの幸せをもらってきたわたしは内心は複雑だったけれど、でもジャニーズの手越くんではファンを本当には幸せにはできていなかったのかもしれないとも思った。

それは‪ジャニーズにいた手越くんでは、いくらすごいパフォーマンスを見せたとしてもそことは違う部分、プライベートのことを面白おかしく書きたてられたり、それに伴い批判や中傷をされたりということから逃れられなくて、そういうことに傷ついてきた人がたくさんいたことを思うと、今は少なくとも手越くんのことを大好きなファンのことは幸せにしてあげられているのなら、それでよかったんだろうな、と思っている。

スーパーポジティブという言葉にとらわれて、何があってもがむしゃらに突き進むだけでは取りこぼしてしまうだろうことが心配だったけれど、今回のことで謙虚さは負けではないことを知り、いったん立ち止まってファンの声に耳を傾けてくれる姿勢があるなら、これからは最強のチーム手越として進んでいけるだろうと信じられた。

わたしはこれからも手越くんのファンクラブに入るような積極的な応援はしないけれど、近くて遠い場所からそっと心を寄せ続けて、手越くんのたくさんの夢が叶うことを願っている。

それにしても手越くんて本当に変な人だなぁっていうのが本を通しての印象で、でもそんな手越くんと一緒にいつまでも4人でNEWSを続けたいと願った、まっすー、慶ちゃん、シゲもやっぱり変な人たちで、アイドルって変じゃないときっとやっていけないんだろうな。笑

そんなアイドルを応援するファンもやっぱりきっとどこか変なんだろうけど、こんなにも思いを込め人生をかけて愛していくことこそが"笑えるほど愚かで泣けるほど愛おしい青春"なのかなって思うし、そんな自分を嫌いじゃないなって、今は思っています。